8.近江路・不破の関・大垣


【芭蕉自筆影印】
 やま登より山城を經て 近江路尓入て美濃尓至る います山中を過て い尓しへ常盤の塚有 伊勢の守武可云介る よし朝殿に似多る秋風と盤 いつ禮の所可似多り遣ん 我毛又

 義朝の心尓似多り秋の風

不破

 秋風や藪も畠も不破の関

大垣尓泊り遣る夜ハ 木因可 家をあるし登す 武蔵野を出る時 野さらしを 心におもひて 旅立遣禮者

 志尓もせぬ旅寝能果与秋の暮

(やまとより山城を経て、近江路に入て美濃に至る。います山中を過て、いにしへ常盤の塚有。伊勢の守武が云ける、よし朝殿に似たる秋風とは、いづれの所か似たりけん。我も又、

 義朝の心に似たり秋の風

不破

 秋風や藪も畠も不破の関

大垣に泊りける夜は、木因が、家をあるじとす。武蔵野を出る時、野ざらしを、心におもひて、旅立ければ、

 しにもせぬ旅寝の果よ秋の暮 )
 

【句碑】


①不破の関跡
 岐阜県不破郡関ヶ原町松尾148

 秋風や藪も畠も不破の關

②いにしえの常盤の塚(常盤御前の墓)
 岐阜県不破郡関ヶ原大字山中534
  若宮神社付近Google Maps

 義ともの心耳似多里秋乃可世
(義ともの心に似たり秋のかせ)
 (義朝の心に似たり秋の風)


③詠地付近になし

(死にもせぬ旅寝の果よ秋の暮)


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